私たちの日常生活は経済活動が生み出す「ものやサービス」によって支えられています。しかし、「ものやサービス」を作っている資源は地球上に限られていますので、安定した生活を続けていくには私たち一人ひとりの経済活動(日々の生活で行う個々の選択や意思決定)の質を高めておく必要があります。その意味で、人々が経済に関する知識や理解を深め、結果として豊かな人生を送ることを可能にする「経済の学び/経済教育」は、その原理・原論を学術的に研究するためだけのものではなく、正に人が生きていくための学びそのものです。
経済は価値の選択・交換です。価値にはお金で量れるものと量れないものがあります。従って、お金で量れる価値だけを対象にする 「利殖や金融取引の学びに特化した金融教育」 は本来の経済教育として十分とは言えません。また、そもそも経済取引とは価値の受け手(消費者)と出し手(生産者)によって成り立っていますので、社会はその二つの属性を併せ持っている個人のつながりで構成されています。この基本的な仕組みについて学ぶ本来の経済教育は、青少年など学ぶ者を価値の受け手に見立てて行う消費者教育に対してもスタンスを異にしています。
本来、経済は日常生活と密接に結びついていますが、一般の人々に「難しい、苦手だ」と敬遠させてしまったのは、学術理論だけに終始してきたからではないでしょうか。一般社団法人CEEジャパンは、経済学を「環境がどのように変化しようとも、取るべき行動や進むべき進路について、最適な選択をするための極めて日常的な学び」と理解し、新しい経済教育のあり方を提案します。経済の基本要素を日常の出来事に照らして皮膚感覚の理解を引き出し、その後に理論的な解説を加えます。この手法ですと、生活実体と経済理論が一体となっているので誰にとっても理解しやすく、実際の生活の中で使える知識として適正な選択・意思決定に役立ちます。
人は誰でも、「どれを選ぶべきか」という選択や意思決定を迫られると、迷ったり考え込んだりします。選択の結果が、良くも悪くも自分に跳ね返ってくることを知っているからです。しかし、中には選択自体を避けようとする人もいます。自ら選択しようとしないのは他人に選択を委ねることであり、主体的な生き方を放棄することでもあります。選択を避け続けていると次第に考える習慣が希薄になり、結果として成り行き任せの生き方になります。次代を担う青少年が「考えようとしなくなった」と言われるのは、通常の学習環境の中で選択の機会や意思決定の場所が失われてしまい、考える習慣が身に付かなくなったからです。しかし、「人生は、毎日が選択の連続」です。これを子どもたちにどう教えるか・・・それは教員の使命です。本事業は、今一度「経済教育」の本来の意味について理解を新たにし、選択や意思決定の多様な実技体験を通じて青少年が再び考える習慣を取り戻せるよう、その具体的な方法と教材を学校教員に対して提供するものです。
CEE/Council for Economic Educationは世界最大の教員向け経済教育団体です。人々が経済に関する知識や理解を深め、日々の生活で行う選択や意思決定の質を高めて、結果として豊かな人生を送ることができるよう願って活動しています。経済に関する青少年の知識や知恵を適正に育むには、彼らと日常的に接している教員自身の経済的リテラシーを高めることが優先と考え、「経済教育ワークショップ」などの実施を通じて教員向けトレーニング事業を展開しています。CEEのトレーニング・プログラムを受けた教員の数は毎年15万人に及び、それらの教員が指導した生徒は全世界で1500万人に達し、そのために作成された教材やプログラムは多数にのぼります。
一般社団法人CEEジャパンはCEEとの書面契約に基づいて設立され、現在、日本に於けるCEEの正規ライセンシーとしての諸活動を展開しています。
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