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発刊にあたって

考える力を身につけさせたい。しかし、現実は・・・「先生、早く結論言ってよ!」
なぜ、生徒は考えるという知的挑戦をしなくなったのか?

人には「自由に考えたい」という根源的な欲求があります。それが人の人たる所以であり、創造・成長・革新の原動力です。教育は、そのような欲求を大事にし、創造・成長・革新を生む人の基本的資質を引き出して伸ばすことにありました。しかるに、多様な社会的ニーズに応じようとするがあまり、教育手法はいつの間にか基本的資質を伸ばすことから、相対評価がしやすい知識偏重と結果重視の手法に変質しました。その変質した手法では、あらかじめ指導すべき結論としての到達点を決めておき、そこに至る考え方まで教え込もうとしたため、生徒が自由に考える機会も奪われていったと考えられます。

「今日はカレーを作るぞ」という到達点を決め、材料揃えから調理法まで細かく指導する手法と、「冷蔵庫を開けるとこれだけの材料があった、さぁ、何を作るか考えよう」という手法とでは、それぞれの過程で得られるものが変わります。前者の手法(メニュー主義)では、全員がカレーを作って終わり、評価の重点は「結果としてのカレーの出来映え」に置かれます。到達点が分かっているから早く到達したいという意識が先行し、そのためのスキル習得に走りがちで、それが考えるという知的挑戦をしなくなった一因になっているのではないでしょうか。後者(材料主義)では、何ができるか分からなので評価がしにくいのも事実です。しかし、生徒が課題を自分のものとして捉え、自分の考えを自由に巡らせることになるのであれば、結果としてそれぞれの到達点は違ってもいいのではないでしょうか。自由な考えの発露・知的挑戦・・・本テキストはそこに手法の軸足を置いています。

実社会や経済活動の中では、最初から不変の到達点が設定されていることなどありえません。人や組織それぞれに個別の考え方と行動パターンがあり、それらが社会や経済全体をダイナミックに動かす原動力になっています。つまり、自由に考えを発露する資質(知恵)が身についたとしても、それらの知恵を発揮させる「場」としての社会の仕組みや経済の働きについて理解が深まっていなければ、知的挑戦の効果も発揮できません。身近な社会や経済の問題を取り上げて理解を深める・・・本テキストはそこにレッスンの題材を求めています。

ただ、いかに知的挑戦をさせると言いましても、又、題材を社会・経済問題に求めると言いましても、そういう手法の経験がない生徒たちは、いきなり「自由に考えなさい」といわれても戸惑うでしょう。そこで、日常生活の中にあるごく身近な社会や経済の題材を、体験型実技演習(レッスン・アクティビティ)を通して生徒が自分自身の課題として取り込み、それをキッカケに考えを深めていきます。きっかけとしてのテーマは与えられますが、その後は自由に考えを巡らせ知的な挑戦(知恵の発露)を行います・・・本テキストはそういう構成になっています。

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